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ギメ東洋美術館所蔵浮世絵名品展

 先日、大阪市立美術館で開催されている「ギメ東洋美術館所蔵浮世絵名品展」(公式サイトはこちら)に行ってきました。
 会期は2007年4月10日~2007年5月27日ということなので、これを見て行ってみようと思っても明日しかありませんのでお急ぎ下さい。

 私は浮世絵が好きで展覧会があれば足を運びます。画家のデザインや、画面の切り取りなども斬新で面白い物が多くあります。また、浮世絵は画家のみではなく版元の彫り師、刷り師の技術で繊細で美しい印刷物でもあるのです。庶民の間にこのように手間のかかった美しい印刷物が当たり前のようにあった江戸という時代。庶民の文化がとても豊かだったのだと思います。

 ギメ東洋美術館が所蔵する浮世絵の数は多く、保存状態がとてもよいものでした。今回の展覧会には約190点が出展されています。ギメ美術館の所蔵する浮世絵がフランスのジャポニズムの流行の中でモネ、ゴッホに影響を与えてきました。
 
 私の妻がフランスにホームスティしていた時、「ギメは行くべき」と勧められたのを思いだし、当時は行けなかったが、行っておけば良かったと悔やんでいました。

 さて前置きが随分とながくなりました。
 今回の展覧会はNHKの番組「新日曜美術館」等でも取り上げられ紹介されていましたように、ギメ東洋美術館所蔵の北斎肉筆の「龍図」と東京の太田美術館所蔵の「虎図」が表装等から一対のものと2005年に判明し、約100年ぶりに再開するということになりました。この展示がこの展覧会の目玉です。

 人だかりが出来ていましたが、とても迫力のある作品でした。北斎最晩年の作品と言われています。画家の執念のようなものを感じるほどでした。よくも現存したと思います。さて、双方の作品はどのような運命を経てここで出会ったのでしょう。思い出話をしているようでもありました。

 浮世絵は印刷物です。だから写真でも同じだと思いがちです。しかし、実際の展覧会では、実物でないとわかり得ない発見をしました。歌川広重の「花菖蒲に白鷺」「太藺に白鷺」で描かれている白鷺です。この白鷺の羽の表現は色ではなく少しへこんだ凹凸で表現されています。最初は何だろうと思って観察していました。これは版木に色を付けずにそのまま刷った空刷なのです。

 多くの作品の中で私は鯉の作品が好きなのですが、どれか一枚気に入ったのをあげるとしたら、歌川国芳の「東都名所 佃島」です。佃島を画面のほぼ中央の遠景に配し、手前の橋脚の間を佃島に向かって行く和船を大きく表現しています。力強く櫓を漕ぐ船頭と客の二人の女性。橋の上から撒かれたお札。それを驚くように見上げる客の女性。大胆な構図と生き生きとした様子が感じ取れます。私はこの作品の中で気に入っているのは、画面下の両端の橋桁脇にさりげなく浮かぶ、割れたスイカと桶です。
特に左端に橋脚に隠れるように浮かんでいるスイカにおかしさを感じます。

 今回の展覧会では浮世絵の初期の作品から有名な北斎、写楽、歌麿の有名な作品まで数多くありました。日本の漫画が文化とも言われ始めた昨今。その源流はやはり以前に見た鳥獣戯画を初めとした巻物、そして江戸期の浮世絵と綿々と日本人の庶民文化として受け継がれているのでしょうね。

さて、余談ですが、昨夜のNHKの番組「美の壺」で千代紙がとりあげられていました。これも結局は浮世絵と同じなのですね。手仕事が作り出す作品はどことなく味があります。

展覧会に間に合わなかった人は図録だけでも・・・。通販してくれるようです。
http://osaka-art.info-museum.net/publication.html

記事の最初にリンクしておいた、大阪市立美術館や展覧会公式のサイト内でも作品のいくつかが紹介されていますし、解説もされています。いつまで掲載しているかわかりませんので、展覧会に行けなかった方は雰囲気だけでもお早めに・・・。

最後に、レポートされている方のブログなどを紹介しておきます。

のっぽ no のっち日記: ギメ東洋美術館所蔵浮世絵名品展 ~GUIME~

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コメント

幸雲さん、トラックバックありがとうございました。
今回の浮世絵展は本当に見ごたえがありましたよね(^^)。
私は、こんなにじっくり、しかも、たくさんの浮世絵を見たのは
初めてでしたし、こんなにも素晴らしい作品がフランスにあったんだ…と驚きました。
フランスへ行った際、ゴッホやモネ等、当時の画家が浮世絵に大きな影響をうけたことは必ず述べられているし、作品にも表れていますよね。
浮世絵に限らず、日本古来の貴重な作品、モノ、風情etc.、
大切にしていきたいな…と素直に思いました。
今日は、神戸市立美術館の「ミイラと古代エジプト展」に行きました。
よろしければ、ブログを見てみて下さい。

投稿: のっち | 2007/05/27 00:24

のっちさん。コメントありがとうございます。
浮世絵といえば、とかく画家が注目されますが、多くは版画。そこには彫り師の繊細な線の描写や刷り師の「ぼかし」などの刷りの技があってこその作品だと思います。私は浮世絵の中でも風景画が好きなのです。大胆な空間の切り取りと江戸の風景。空想に浸ってしまいます。

「ミイラと古代エジプト展」ですか。いいですね。私は、行けずじまいになりそうな展覧会があります。京都国立近代美術館で6/3までやっている「福田平八郎展」です。鋭い観察で斬新な絵を残しています。例えば、「雨」という作品。「雨」と言いながらも描かれているのはキャンバス一面に瓦屋根のアップ。風景もなにもありません。しかしよく見ると、ぽつぽつと水滴の跡があります。夏の焼けた屋根瓦に夕立の前の雨粒でしょうか。今まさに夕立がくる直前の屋根瓦に落ちた雨。そんな一瞬を描いているのです。見たかったなぁ。

参考までに京都国立近代美術館のHPにあったチラシのpdfファイル
のurlを紹介しておきます。

http://www.momak.go.jp/img/2007/354/flyer354A.pdf

投稿: 幸雲 | 2007/05/27 22:11

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