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第57回日本伝統工芸展京都展

 第57回日本伝統工芸展京都展をみてきました。このところ、毎年みています。私は竹籠を中心にみるのですが、漆や金工、陶芸、着物、日本人形などさまざまな作品が展示されています。

第57回伝統工芸展京都展

会期 平成22年10月13日(水)~18日(月)
会場 京都高島屋グランドホール(7階) (巡回予定

第57回 日本伝統工芸展(日本工芸会)

 竹籠も毎回見入ってしまって、動けなくなるような作品ばかりです。今回の注目は、NHKの日曜美術館でもとりあげられていた、日本工芸会総裁賞の作品、『重ね六つ目盛籃「水鏡」』(磯飛節子)です。細く薄いひご(幅1・5ミリ、厚さ0・22ミリ)を薄茶から赤茶まで4段階に染め、六つ目に編んだ底は少しずつずらしながら4枚が重ねられています。その底が醸し出す柔らかい印象は、まさに水鏡という名がぴったりです。立ち竹の部分も「く」の字にねじられて黒く染められています。その姿は立ち竹のくの字にくびれるところが消え入るように見え繊細な印象です。女性らしい作品といえます。

 ほかにも『花籃「緑陰」』(武関翠篁)は、縦に長く四角い籠ですが、真ん中に葉っぱの形が施されています。そして、その両側は細い竹が縦に細かく配置されており、見る者が動くことにより、ちらちらと風がそよいでいるように見えます。

 そして、『火炎花籃』(田辺小竹)は重厚な作品で、その重量感はまるで鎧のようでした。形は最近の小竹さんが多く作られている茶筅をモチーフにした形。たとえるならメガフォンの口を当てる部分を下にして立てたような形です。

 胴体部分は3層からなっており、黒く染色した細いヒゴで内側をすかしたような編み方(菱四つ目?)。次に染色していないヒゴでざる編みのような編み。そして一番外側には黒く染色された竹で、扇子の骨のように削られた矢羽根のようなひごによりデザインされています。黒い矢羽根の間にに白竹の色が見え、内側も見え方は異なりますが奥に白竹の色が見え、厚みを感じます。

 メガホンのくびれた部分には、節があります。ここに鎧に打たれた錨のような籐かがりが節を挟んで縦に2つずつ一定間隔でぐるりと配置されています。これは何かと節の部分観察してみると、節の部分は一本の竹ではなく、縦に割られた複数のパーツにより構成されていました。そして節を挟んでメガホンの上部と下部の扇子の骨状に加工され、籐でかがって一本の竹のように再構成されているのです。この錨のように見える籐かがりが、繊細な編みに鎧のような重厚さをプラスしている要素でもあります。不安定にも見える形に宿る安定感。攻撃的で凛とした印象の作品に見入ってしまいました。

 その他のどの作品もすばらしいものでした。竹籠の展示を京都展目録から紹介します。

重:重要無形文化財保持者  鑑:鑑査委員 特:特待者

00529 重ね六つ目盛籃「水鏡」     磯飛節子(栃木)    日本工芸会総裁賞
00532 重ね亀甲文切込花籃      上野孝志(奈良)
00533 花籃「伸」              大木淑恵(埼玉)  
00540 花籃「揺らめき」          梶原光峰(大分)  
00542 平割摺漆盛籃「喜久之香」    勝城蒼鳳(栃木)    重
00569 火炎花籃              田辺小竹(大阪)  
00592 千鳥掛け花籃「残雪の輝き」   福西良一(奈良)  
00596 彩変化花籃「富嶽」        藤塚松星(神奈川)   鑑
00598 花籃「緑陰」             武関翠篁(東京)    特
00601 盛籃                 堀田博門(岐阜)

最後に、竹籠の他に心底すごいと思った作品は漆芸の次の作品です。

00455 漆象嵌盤「涼蔭」 山岸一男      朝日新聞社賞

塗り重ねられた漆の光沢。そして描かれた細い線。この細く均一に引かれた線がフリーハンドだというのですから驚きです。必見の価値あり。

関連新聞記事:下野新聞「竹工芸家・磯飛節子さん、日本伝統工芸展総裁賞を受賞


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