« 四ツ目編みの花籠、縁竹装着 | トップページ | 籐こなし »

犬塚勉展-純粋なる静寂-

「犬塚勉展-純粋なる静寂-」に行ってきました。随分前、NHK日曜美術館でこの展覧会の紹介していたのを見て、忘れないようにすぐに手帳にメモしました。絶対に見たい作品だったからです。

もう、言葉を失います。離れてみるとこれが絵であるということが信じられません。近づいてみるとやはり絵なのです。その絵の細かさに驚きます。そこにある草や木をすべて描き込もうとした画家の執念のようなものを感じます。

解説によると画家は創作ノートを残しており、この時期この技法の作品を制作している頃には、「密度」を目指していたそうです。草原の絵のシリーズを書く頃の記録が図録に掲載されていましたで拾い出します。

  • 「自然の写生、とりわけ雑草の広がり、小さな野の花、朝、あるいは夕暮れの色調、むせかえるような緑の横濫」
  • 「描いて描いて描き込んで、自然そのままの密度に到達する」
  • 「一つ一つの植物が本物に似ているかどうかではなく、密度であり、全体から感ずること」
  • 「徹底的な写生を現場で描き、構築すること、写実的であることではなく、美しく充実した絵」

私はすごい絵だと思うだけですが、画家は様々な悩み葛藤をノートに記録しつつそのイメージを形にしていたのです。
作品世界の密度に圧倒され、草原から立ち上る湿気、草の香り、風のそよぎまで感じてしまいます。

画家はその後も、作品表現を模索し続けて行きます。
私はブナをテーマした作品にも圧倒されました。画面いっぱいに広がるブナの幹。古いブナの肌が神秘的でもあります。

画家はその後、渓谷の絵に取り組みます。3部作になるはずでした。1988年9月。制作途中の作品の表現に悩み「水を見てくる」といい残し、谷川岳に登りにいきます。そこで悪天候に見舞われ遭難。力尽きて永眠されました。38歳でした。
私は、残念でなりません。どのように画風に到達しどんな作品を描いたのか。もっともっと作品を見たい。きっと大自然を精密に描きつつ、その風景の中に存在する神の存在を感じさせるような作品を残しただろうに・・・。
作品を前にした感動と、ちょっとした悔しさを感じながら場を後にしました。

NHK日曜美術館のアートシーンで放送されたのは2011年9月11日に放送されていました。
今後の巡回は次のようになっています。
【巡回】
京都髙島屋 2012年1月6日~1月23日
東御市梅野記念絵画館 4月14日~6月3日
奥田元宋・小由女美術館 11月2日~12月25日

Googleで「犬塚勉」で検索すると画像がヒットします。


山と写真
ブナの絵などの写真を掲載されています。

|

« 四ツ目編みの花籠、縁竹装着 | トップページ | 籐こなし »

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/41440/53842845

この記事へのトラックバック一覧です: 犬塚勉展-純粋なる静寂-:

« 四ツ目編みの花籠、縁竹装着 | トップページ | 籐こなし »