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竹工芸の継承・革新(作品鑑賞)

今回の規模の展覧会は久しぶりです。ロイドコッツェンのコレクション展以来の本格的な竹の展覧会ではないでしょうか。

出品目録(大分県立芸術会館HP掲載PDF)


美術としての竹工芸の系譜

近代の美術品としての工芸の系譜をたどるとてもすばらしい展覧会です。美術品としての工芸を確立した3家と、その流れを受け継ぐ現在の作家達の作品。さらに併設展示されている大分の訓練校の卒業生の作品達が一堂に会する見応えがあるものでした。

大分だけで終わるのが、とても惜しい。竹工芸になじみのない方にも見て欲しい。充実したよい展覧会です。竹工芸のためには全国に巡回して欲しいと思いました。
近ければ、何回か行きます。

今回の3作家・・・実際には世代が複数あるので3家といった方がいいのかもしれません。美術工芸としての竹を確立した作家達の時代の流れを、それぞれの作家の作風の中に垣間見ることができた。

早川尚古斎

早川家は近代竹工芸の先駆者としての細かい細工が見事だった。小さな銘々籠などの、かわいいものから矢羽のような竹を差した籠など魅力的であった。どちらかというと繊細な感じを受けました。1世の作品はまだ実用品という言った感じが残っていた。でも、単なる実用品ではなく美しさや遊び心がある。工芸品を道具として使う贅沢さがありました。

田邊竹雲齋

田邊家の作品は、初代は力強い唐物、2代は透かし編み、3代は組が印象的です。
今回新たに発見された初代の籠も展示されていました。もちろん私の好きな初代の煙草入れもありました。また見入っていたのはいうまでもありません。

一番面白かったのは蝉籠です。掛け籠の種類に蝉籠というのがありますが、本当に蝉の形をした籠を初めて見ました。初代竹雲斎の遊び心なのでしょうか。愛らしい蝉がおかしかったです。
羽は花六つ目。胴体の部分竹ひごを重ねて、正割のように束ねたものをいくつか弧をを描いて配置しています。まさに蝉の胴体。目は籐でかがって作っているのでしょうか。そして足もちゃんと6本あります。竹の芯に籐で虫かがりのようにしてあるものおもしろい。今にも鳴き出しそうだ。とてもおもしろい。ユーモラス。

そして、もう一つは70年ぶりに発見されたというひし形の口、そのままの幅で底まで続くどことなく不安定な印象。特徴的なのが手。5~10センチ位の幅の割竹を一節分を曲げています。節から先は二股に割るというよりも削られており、二股に割った計4本の足をひし形の辺の面におろしています。つぶれたようなひし形にあわせるように微妙なラインでカーブした手がとても印象的でした。

飯塚琅かん齋
飯塚琅かん齋の作品は力強くどことなく野趣があります。そして、どしんと安定感があり、無骨で・・・それは竹の力がにじみ出ているようでもあります。文箱などは網代の籠の外側に太い竹で四つ目で包み込んでいます。ふたをかぶせると、ふたの縦のひごと本体の縦のひごが一致してがっしりと作品を囲っており、力強さを感じます。

一方、とても繊細な籠もあるのです。とても細かい網代から縦の部分のひごの組んであるのですが、そのひご1本の太さが驚きなのです。それは、ひごではありません。明らかに竹の繊維です。この仕事はすごすぎます。なんと繊細な仕事だろう。無骨な籠との対比は技術力の高さを物語る。

生野祥雲齋

そして、生野祥雲齋。この作家の特徴は竹ひごの流れ。波を表したオブジェのような作品。そしてモビールのような作品。この作品はその籠の作る影が水面のようで、とても美しいのです。用の美を離れたようなオブジェたち。オブジェの形作る陰がとても美しい。とはいえ、オブジェだけかと言えば、そうではなく、用の美を追求した作品もきちんと作っておられます。

一つ、以外だったのが「梟将」。これまで写真でしか見たことがなかった作品です。写真からは小さな作品だと思っていました。ところが、大きな作品だったのです。何か裏切られたような印象でした。

併設展示「大分で学び、輝く」

訓練校の人の作品もじっくり見ました。目にしたことのある名前もありました。

作品の中で今、一番印象に特にのこっているのが星雲という作品。やたら編みの籠で口が少しゆがんで両肩に取っ手があります。竹縄が胴体に絡んで、古い蛸壺そんな印象の籠です。でも、この作品は「星雲」という名のごとく、胴体に蜘蛛の巣網代?の星の形が配してあります。星の周りに雲を表すのか正割のように重ねたひごが波打って配してあります。その周りに竹縄。力強い籠です。名前と作品がとてもマッチしており面白いなと思いました。

どれもこれも、すばらしい。語り尽くせません。


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