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3月の別れ

Inu2010_03_20 裏山の椿は赤い花をつけ、間もなく春。
でも、春は別れの季節でもあります。職場の話題は人事異動となります。私は、花粉に悩まされながらも、愛犬をつれて野道を散歩し、春の息吹を感じるのが好きでした。

ところが、愛犬は14歳になった今年2月頃から食欲がなくなりあまり食べなくなりました。やせはじめ、足取りもおぼつかなくなってきました。

妻は心配して、食べられるものは無いかとドックフードを変えてみたり、普段はやらない缶詰をやってみたりしました。そして食べたと言っては喜び、食べなくなったといっては落胆するという日々が続きました。

  やInu2011_02がて、水しか飲まなくなりました。弱ってきているので遠くに散歩に連れて行かないようにしました。

Inu2010_05  先週の日曜日は、久しぶりの休みだった妻が、散歩に連れいきました。なかなか戻ってきません。心配していたらいつものコースを回ったとのこと。妻は、帰ろうとしても、ぐいぐいと引っ張っていくのだと言います。仕事が忙しくなる前の妻は毎日2回散歩に連れていっていました。だから彼はうれしくて、いつものコースを妻と一緒に歩きたかったのでしょう。

Inu2009_09 Inu2012_03その2日後の朝。新聞を取りに出ると、綱がほどけたのか犬小屋から出て外に立っていました。散歩がしたいのかと思い形ばかり行き、家に戻ると、いつものように玄関に行きます。何か欲しいのかと思い、お菓子をやりましたが食べません。仕方ないので、犬小屋に連れて行こうと歩き出した時、彼は突然歩けなくなり座り込んでしまいました。玄関のところで探していたのは、妻だったのかもしれません。

それから後はもう介護犬になりました。耳を患っていて耳ダレが気持ち悪くていつも首を振っていましたがそれすら出来なくなっていました。

Inu2010_04Inu110716犬小屋では寒いので、倉庫の横の部屋に寝かせていました。もう歩けない ので綱も外していました。ある日のこと。家族の者が見に行くと犬がいません。どこへ行ったのかと思ったら、犬小屋の中で丸まって寝ていたのです。よほど犬小屋が良かったのでしょう。満足に歩けないのに・・・。どうして移動したのか誰も見ていません。その後は、もう立ち上がることはありませんでした。

それから一週間。自分で水を飲むことも出来なくなり、水やジュース等をスポイドで飲ませて過ごしました。妻は一生懸命介護していました。妻にとって、この犬は恩人なのです。どうにかして栄養を取らせようとしていました。でも、どんどんとやせていくばかりでした。妻は毎日、名前を呼びながら犬の体をさすっていました。犬の顔には大粒の涙が落ちていました。

昨日の朝、出勤するときに「明日は休みだから、みんなと一緒やぞ。待っとけよ」と声をかけました。早く帰れず心配していましたが、待っていてくれました。でも、もう頭を上げることも出来なくなっていました。

Inu2012_1その夜、私は愛犬の耳ダレの臭いで目が覚めました。意識がはっきりしてくるとともに、その臭いは薄れていきました。犬が呼びに来た。私はそう思って犬の所へ行きました。まだ息はありましたが、目は開いて意識が無いようでした。頭に敷いていたクッションを直して体をさすってやって部屋へ戻りました。2時50分頃でした。

6時頃、様子を見に行った妻が、慌てて私を呼びにきました。すでに事切れていました。なでてやると、まだ、体は温かく生きているかのようでした。

Inu1999_03 彼は、14年前の3月に私の家にやってきました。3月にちなんだ名前をもらい、そして3月に旅立ちました。とても、賢く優しい犬でした。

今、思い出を話そうとすると、様々な場面が心にあふれ出し、頬を伝って流れ落ちていきます。これ以上は書けません。
もう少し落ち着いたら、自分なりに整理して文章に書き残したいと思っています。


過去の記事

もっと、記事にしておけばよかったなと思います。面白いエピソードが沢山あったのに・・・。

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コメント

おはようございます
先の記事と今回の記事、幸雲さん、ご家族の方々にとって辛いお話ですね
ここ暫くの愛犬さんの様子、淡々とした文章の間からその愛犬さんへの愛おしさと慈しみと、悲しみが感じられて、私も胸が詰まります
愛犬さんは喋れなくても、その時々でいろんな思いを伝えていたのでしょうね、それを皆さんがちゃんと受け止めていたんだろうな
残された者は悲しくて寂しさでいっぱいだと思いますが、優しい方々と一緒に暮らせて、みんなに愛されて、愛犬さんはやっぱり幸せだったのでしょう

愛犬さんのご冥福をお祈りいたします 合掌

投稿: tutatyan | 2013/03/21 05:28

こんばんは。
愛犬さんの記事、人事とは思えません。
家の犬も、今年11歳。
耳だれに悩まされています。
エピソードもそっくりです。
我が家の犬というものは、可愛いものです。
本当にお寂しいことと思います。
ご冥福をお祈りいたします。
(お返事は、無理なさらないでください。)

投稿: はなこ | 2013/03/21 18:50

  ()  ()
゚・。(。/□\。)。・゚

()()
(--)
  人 合掌

投稿: うさぎさん | 2013/03/21 20:34

みなさん。コメントありがとうございます。
毎朝の少しの散歩を面倒だと文句を言いつつしていた事もあります。平日はそんなにかまってやることもできないことも多くありました。でも、少しのふれあいに、どれほど癒されていたか今になるとよくわかります。

投稿: 幸雲 | 2013/03/22 19:49

文章を読みながら、幸雲さんとご家族の気持ちを思い、
胸が締め付けられるようでした。
家族同然にペットと暮らし、その最期を看取った経験のある人ならば、
きっとみな同じように感じて、その悲しみを理解できることと思います。
私の実家の猫も、3年前の3月、母の布団の中で息をひきとりました。
18歳という高齢でした。
犬と猫の違いはあっても、少しずつ弱っていって、食べ物を口にしなくなる
様子などは、幸雲さんのところのワンちゃんと同じでした。
優しく賢かったという彼は、幸雲さんご家族と一緒に暮らせて、
最後まで寄り添ってもらって、幸せだったと思いますよ。
悲しみが落ち着き、穏やかないい思い出となる日が早く来ますよう、
お祈りしています。

投稿: hanano | 2013/03/23 17:42

hananoさん。あたたかいコメントありがとうございます。
命ある者にとって死は必ず1回は経験するもの。でも、残される者にとっては、その別れは何か時間や空間やそんなものがぽっかりと抜け落ちてしまう。もう戻らない時間。
もちろん、震災で身内の方を無くされた方の心中はもっと大きな喪失感に包まれておられることでしょう。
でも、犬とは言え、10数年一緒に過ごせば家族です。怒って、笑って過ごした時間は何でもない日常でした。忘れがちですが、そんな時間が本当は大切な時間なんですね。あらためて、思い出させてくれました。

投稿: 幸雲 | 2013/03/23 20:36

御無沙汰いたしております。
幸雲様、そして奥様のお気持ち・・・お察しいたします。
別れというものは何とも辛くさびしいものです。

9年6ヶ月ともに過ごした我が家の猫(みゅう)も、去る1月22日に亡くなってしまいました。
今でも家のどこかからニャアと鳴きながら出てくるようで・・・どうにも寂しいものです。
御冥福をお祈りいたします。 合掌 m(_ _)m

投稿: JJ花咲 | 2013/03/30 22:31

JJ花咲さん。ご無沙汰しています。
コメントありがとうございます。本当に別れは悲しいものです。花咲さんも愛猫とお別れになられたとのこと。本当につらいですね。

別れから10日が経ち、妻とも思い出話をしても涙がこぼれるような事は無くなってきました。
でも、自転車で出勤する時、犬小屋をちらっと見ていた癖が抜けません。あぁ、もういないんだなと思ってしまいます。あの手触り、とぼけた表情。おやつが欲しいがために、必死で言うことを聞く様子。思い出すとやっぱり寂しいです。

よく妻が遠出をして犬と散歩をしていた堤防の桜が咲き出しました。
今日、妻と犬のお墓に花と線香をあげに行きました。

投稿: 幸雲 | 2013/03/30 23:24

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