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「アマテラス」京都公演。

 今、南座で講演している、坂東玉三郎主演の「アマテラス」を見てきました。
 妻と一緒にいったのですが、妻は坂東玉三郎を、私は共演している和太鼓集団の「鼓童」の演奏と、少し視点が違うのですが意見が一致して行きました。

アマテラス 京都公演

   南座 2013年10月5日(土)~27日(日)

 確か高校生の頃に、私は鼓童を知り和太鼓の響きが好きになりました。しかし、注目はしていたのですが一度も演奏を聴きに行くことができていませんでした。当時はふんどし一つで太鼓のリズムを刻み、太鼓を打つためにだけに鍛えられ引き締まった肉体そのものがパフォーマンスであると思っていました。しかし、今回この芝居では、役者として玉三郎と共演し、舞台の演出効果も担うという、幅の広いパフォーマンス集団となっていました。さらに驚いたのはなんと女性メンバーが多くいることでした。鼓童はストイックなまでに太鼓を打ち続ける男臭い集団だと思っていた私は、この30年ばかりの時代の変化を感じました。

 さて、「アマテラス」は芝居というよりも、舞踏劇とでも言ったほうがいいかもしれません。台詞もほとんどなく、舞台の演出と鼓童の迫力ある太鼓で物語が進んでいきます。アマテラスの岩戸隠れの物語を知らないと少しわかりにくいかもしれません。

 玉三郎が踊るというシーンは少なかったのですが、舞台にいるだけで輝くそんな感じです。まさにアマテラスです。存在感が違います。指先の細やかな動きにでさえ気品が漂っています。女形であるゆえの美しさです。年齢を感じさせません。
演出も玉三郎がされているとのこと。1幕目の光のアマテラスと荒ぶる神のスサノオのせめぎあいを激しい太鼓と美しい布の流れで表現する様子は見事でした。思わず感嘆の声が出ました。スサノオ役も鼓童ですから、荒ぶる神の気持ちを大太鼓を打ち続ける姿は迫力がありました。

 南座のおもしろいのは、芝居の間に20分ほどの休憩があり、その間に弁当を食べてもいいのです。まさに幕の内弁当です。開演前に軽く食事をしていたのですが、やはり雰囲気というものがありますので、ロビーで売られていた巻き寿司を上演前に買って食べました。これも芝居小屋の楽しみです。南座の近隣のレストランや食堂も予約しておけば、幕間に弁当を届けてくれるサービスをしていました。

 2幕目の「天岩戸」のシーンの、鼓童の演奏で物語りが進みます。
天野岩戸の前で神々がおもしろおかしく踊るシーンもすべて太鼓や鐘で演じられます。その滑稽な演奏と動作に笑いも起こるくらいです。アメノウズメの登場で天岩戸の前での神々の大騒ぎのクライマックスです。今回の「アマテラス」では、アメノウズメ役として、元宝塚の男役スターの愛音羽麗が特別出演しています。その後の圧倒的な光の復活が印象的でした。

 本編終了後のアンコールでは5回ほど登場し、その都度、鼓童は見事な演奏を披露し観客の心をつかんでいました。外国人の方も観客にいましたが本当に楽しんでおられました。鼓童は最初から最後まで太鼓を打ち続けます。訓練なくしてはできないステージです。とても感動的な舞台でした。ずっと太鼓の響きに酔いしれたいそんな思いになりました。

 鼓童創設にも関わった太鼓演奏家の林英哲は、テレビの番組で体を暖めておかないと一つのステージがもたないと語っていました。以前は演奏前にも走っていたそうです。しかし、コンサート前に何かあったら大変と主催者から禁止されたそうです。そこで始めたのが、1000回ジャンプ。まさに、アスリートです。3時間近いステージで太鼓を叩き続けるのです。特にすごいと思うのは、腹筋運動を途中で止めたような姿勢で太鼓をたたき続けるものです。これはすごい。みているだけで力が入ります。まさにアスリートのパフォーマンスなのです。

 私は高校生の頃から鼓童が好きでした。というか、和太鼓の激しいリズムに魅了されました。しかし、CDでは伝わらないものがありました。

 本格的な太鼓の生演奏を聞き感じたことがあります。それは、様々な太鼓の掛け合いによる共鳴、音ではなく太鼓の演奏は”振動”・・・。いや、「波動」なのです。舞台でドンとなると体にドンと振動が伝わるのです。舞台と客席、その間にある空気がすべてうねっているのです。その波動に共鳴して心も響き出のです。

林英哲は、オーケストラと一緒に演奏したときにリハーサルの時団員が耳を押さえたといいます。まさにそうだろうと思います。音のうねりと心の共鳴が和太鼓の本質であると私は思いました。実際に生演奏を聞いて実感しました。

(余談)

 ものすごく良い舞台でした。しかし、残念なことが一つ。それは、隣の席で「日本の先住民は縄文人で弥生人の末裔の天皇家がアマテラスの末裔というのはまやかしだ」とか、「スサノオはもっと大きい役者がする方がいい。大きい役者に太鼓をたたかせたらよい」とか「玉三郎は飾りみたいだ」とか否定的な視点で見ている夫婦らしいお客さんがいたこと。終始このような話ばかり。
こんなに素晴らしい舞台を前にして、楽しみ方が下手だなと思いました。とてももったいない。幸い、妻が隣の席では無く、舞台を存分に楽しんでいたことが何よりでした。


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コメント

(^^)おはようございます
我が家からホン近くでの公演だったんですね(^^ゞ
和太鼓は、こちらに住んでいると割りと馴染みのあるものですが、
鼓童さんのパフォーマンスはそれをもっと突き詰めた、劇場全体がその世界なんでしょうね
玉三郎さんも自身の存在が芸術なのだと思っているので、その二つが醸す空気に触れてみたいと思いました

投稿: tutatyan | 2013/10/24 07:05

tutatyanさん。コメントありがとうございます。
鼓童は本当によかった。心が沸き立つというか、叩く姿自体が美しい。あれはなんでしょうね。見てるとこっちにも力が入ってくるそんな感じがします。見る価値はあります。といっても、もう明日までですね。

投稿: 幸雲 | 2013/10/26 19:02

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