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「貴婦人と一角獣展」を見ました

大阪の中之島にある国立国際美術館で開催されていた「貴婦人と一角獣展」に行ってきました。妻が買ってくれたチケットだったのですが、一緒に行くことができなかったので、ひとりで行ってきました。(ちょっと前の話です。)フランスの国立クリュニー中世美術館所蔵のタピスリーがメインの展覧会でした。

このタピスリーは最高傑作といわれれ、日本初公開ということでした。フランスから出たのも2回目だそうです。先に見た妻は絶賛していたので、どんなのだろうと思っていました。タピスリーというと、祇園祭の山鉾につるされているものしか、イメージはありませんでした。織物にあまり関心は持っていなかったのですが、せっかくなので、見に行きました。

まず、お詫びです。この展覧会も会期は終わっています。
この記事を読んで、見たくなってしまった方ごめんなさい。美術館のサイトで、まだ紹介しています。ご覧ください。

「貴婦人と一角獣展」2013.7.27~10.20

さて、レポートです。

まず、タピスリーの大きさに驚きました。ほぼ美術館の壁の高さはあります。6枚を繋げると全長22メートルもあると言います。これを手で折ったというのですから凄いです。鮮やかな赤に貴婦人と一角獣とライオン、その周りには、ウサギやサルなどの動物と草花がちりばめられています。500年ほど前に作られたものとは思えない鮮やかさでした。材質をみると、絹と羊毛とありました。

日本の反物のような織物だと思っていたのですが、実物をみると、ずいぶんと違っていました。陰影が表現されていて、まるで絵画なのです。どうなっているのかと思ってよく見ると、木々や動物の足などが少し盛り上げるなど、様々な効果で立体感をだしたり、輪郭がぼかしたりしているのです。

解説のコーナーでタピスリーの折り方を見ると、縦糸を垂直に張り、その向こうに原寸大の下絵を置きます。それを参考に職人が様々な技法を使い、輪郭をはっきりさせたりにじませるなどして織り込んでいきます。単に横糸を入れているだけではないのです。当時は間仕切りとして使っていたらしいので、裏からみてもデザインがきちんと見えるように処理されているらしいのです。そんなことを考えると展示されている作品は、多くの職人が長い時間を要して織ったものだと言うことがよくわかります。

また、下絵を描く画家も別にいます。当時のデザインではやったのは、動物や植物を背景にちりばめたようなデザインです。ここに登場する動物や花などは、流用されることが多いため、工房にあるサンプルをもとにデザインすることも多かったようです。実際に6枚の中にも同じ様な形の動物が流用されていることがわかっています。

6枚のタピスリーには、聴覚、視覚、触覚など五感の名前がついているのですが、最後の1枚には「我が唯一の望み」という唯一文字がかかれており、これをタイトルがついていて、見る者の想像をかき立てます。実際、どういう意味でこのタイトルがつけられたかは解明されていないのだそうです。

このタピスリーは、ある貴族が発注し、妻へ送られたものだといわれています。貴婦人のほか一角獣とライオンが必ず配置されていますライオン、一角獣は必ず紋章の入った旗などを持ったりきたりしています。これは、この注文主の家のシンボルであるとされたものです。また、家の紋章ではないものを絵に使った場合は、絵の隅にでも紋章を入れることになっているのですが、それがないためどこの家が発注したかは特定できているそうです。

一つ気がついたことがあります。私はこれまで一角獣というと、白馬に角が一本生えたものというイメージがありました。しかし、このタピスリーに描かれた一角獣はどうみてもヤギなのです。顎に白い髭があり、蹄が二つに分かれています。これはおもしろい発見でした。

背景にはウサギがたくさん登場します。当時ウサギは多産の象徴だったそうです。また、ほかにも外来の動物たちも描かれています。
この一連の絵にサルが何枚かに登場するのです。貴婦人の真似をするなど、単なる背景としての位置づけではないのです。でも気になることが一つありました。「触覚」の一枚だけは鎖につながれているのです。よく見るとこの絵には、つながれた動物が他にもいます。一体どういう意味があるのでしょうか。気になります。

妻に勧められて行った展覧会でしたが、とても興味深いものでした。知らないことはたくさんあるものです。

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