« 造形は心の形 | トップページ | 籐こなし(磨き) »

「かぐや姫の物語」見ました

ジブリの「かぐや姫の物語」を見てきました。
竹取の翁が出ますので、竹藪のシーンや籠を編むシーンも何度も出てきます。とても親近感がわきます(笑)

さて、話のあらすじはいうまでもなく竹取物語ですが、登場人物や人間関係にジブリ的要素を織り込んでいます。かぐや姫の明るい笑顔がとても印象的なだけに、エンディングで見る者に切なさを募らせます。

通常のアニメの様な明確な輪郭線が明確ではなく、ラフな線で描かれているため、毛筆で描かれたようでもあり、水彩画の様な絵でした。時折、デッサンがぶれるのもいい味があります。どこか絵巻物風でもあり、物語の世界の雰囲気が良く出ていました。
そういえば、配役などが流れる場面も、背景は和紙のようで、どことなく絵巻風でした。

物語は、高い位置から登場人物を語るというようりも、かぐや姫の視点で描いているため、新鮮です。どちらかというと、平安の頃というよりも現代風にしてあるのも月から来たという異質さを表現するためかもしれません。もちろん、ジブリ的少女なので、よく走りました。

驚いたのは、登場人物です。
翁を演じているのは、昨年亡くなった地井武男です。
さらに、よく見ると登場人物は声を演じている俳優の顔に似せているのです。それを悟ったのが、かぐや姫に言い寄る5人の貴族です。伊集院光の声がすぐわかりました。驚いたのは、キャラクターの顔も体型も伊集院によく似ているのです。次に橋爪勲の声がわかりました。よく見るとその顔もそっくりなのです。

映画の後すぐにパンフレット買いました。すると主役のかぐや姫をはじめ、主要なキャラクターは皆、役者に似せているのです。そっくりです。デフォルメされた女の童でさえ、田畑智子に似ています。

パンフレットを読むとそれもそのはず、アフレコではなく、先に台詞を録音するという手法で作成されていたのです。だから、これらのことも可能なのでした。

私はここ数作の中で、一番いいものだと思いました。人生の少しのすれ違いによる人生の行き違い。互いに愛する人の為と思いやっていたことが招く悲しみ、そんな人生の悲哀をさりげなく織り込んでいます。誰もが知っている物語をうまく調理して、別れのシーンがこんなに切なく、心に迫る作品に仕上がっていました。場内からはすすり泣く声さえしたほどです。これまであまり語られなかった、かぐや姫の心情(現代風だけれど)がうまく描かれている作品だと思います。

余談1------------------
物語にはジブリ的味付けがされています。だから、エンディングは原作とは少し違います。
終盤に海の向こうに富士山から、煙がたなびいているシーンが一瞬差し込まれていました。当時は富士山は煙を出す活火山ですから、おかしくないのです。でも、竹取物語の一般的な物語では、御門が富士山で、かぐや姫からもらった不老長寿の薬を富士山頂で燃やしたため、煙が消えることなくたなびくというものです。
このシーンをみて、そこまで語らずに切り捨てたなと思いました。御門との関係よりも別れのシーンに重きを置いたのだとその時悟りました。

余談2-------------------
竹取物語は平安時代の物語ですが、平安の頃の人が昔というのだから、もしかしたら奈良時代までさかのぼるのではないかと思うのです。原作での「都」は京都ではなく奈良ではないかと私は以前から考えています。映画の中の「都」はどうも「平安京」のようでした。

余談3-------------------
違和感を感じた話です。
竹藪のシーンに少し違和感を感じました。それが竹藪です。竹の太さ、節の間隔から見ると、モウソウ竹ではないのかと思いました。モウソウ竹は中国から輸入されたものなので、かぐや姫の時代には日本にはないはずなのです。あったのは在来の真竹のはずなのです。目くじらを立てる話ではないのですが、少し思いました。

妻は、眉毛を抜かれるシーンで使われた、いわゆる「毛抜き」。あのピンセット状の道具が、あの時代にあったのかということが、不自然でどうも気になるとのことでした。

余談4-------------------
ネットの批評をみると、登場する子供が裸であることを批判しているものをみかけました。これは、「風たちぬ」であった「たばこ」についての批判に似ています。

日本では、昔の日本は、小さな子供は素っ裸で走っていても問題視などされないでいました。ましてや平安時代です。小さな子供が裸に着物を羽織っている姿は自然といえます。時代としてとても自然な表現です。
しかし、海外ではそれを問題視する文化があります。だから、海外で売りにくいという評価なのです。私は、海外で売るために日本の文化というか時代の風俗を極端に曲げてしまう必要はないと批評を読んで思いました。

|

« 造形は心の形 | トップページ | 籐こなし(磨き) »

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/41440/58680158

この記事へのトラックバック一覧です: 「かぐや姫の物語」見ました:

« 造形は心の形 | トップページ | 籐こなし(磨き) »