新年の新薬師寺
年始にはお寺に参るようになりました。数年前、正月の神社の混雑に辟易して、お寺に立ち寄ったことがきっかけでした。新年のお寺は、人もまばらで、新年の澄み切った空気に満ちています。心静かに手を合わせると身も心も浄化してくれるような心持ちになります。神社は近所の氏神様に参拝し、有名なお寺に参拝してみるのもなかなかよいものです。
最近は奈良の情報誌を購読しているためか奈良のお寺の風情が気に入っています。華美ではなく、どことなくひなびたお寺の雰囲気がとてもよいのです。薬師寺と唐招提寺には昨年にいきました。さて今年はどこへ参拝しようと地図などを見て「新薬師寺」にしました。
新薬師寺というから、薬師寺と関係があるのかと思っていましたが、関係はないそうです。春日大社の南側。高畑町に新薬師寺はあります。ちょうど志賀直哉の旧居がある近くです。
新薬師寺 ( http://www.k5.dion.ne.jp/~shinyaku/ )
正月3日。春日大社は多くの人出があり道も渋滞していました。渋滞する春日大社への道を迂回してやがて、車は路地に入りました。細い道を進むとひっそりとたたずむように新薬師寺はありました。
薬師寺や唐招提寺のように大伽藍ではなく小さな境内に本堂と地蔵堂と鐘楼などがあるこぢんまりとしたお寺でした。
奈良のお寺の独特のどこかに大陸の香りを残す白壁の本堂が門の奥にありました。新年早々の積雪がようやく溶けたこの日、お参りする人もまばらで新年の新鮮な空気に包まれていました。
本堂の横から中に入って参拝できます。お寺の名前からもわかるように、ご本尊は薬師如来です。本堂のサイズからして小さいのかと思っていたのですが違いました。意外と大きく、そして柔和なお顔のご本尊でした。そして、特筆すべきが本尊を守るように勇壮な十二神将像(新薬師寺HP 十二神将像)がぐるりと取り囲んでいます。
等身大もある12体の像は、ほの暗い照明に浮かぶ仏像たちの気迫に満ちた表情に息をのみました。何度もぐるりと回っては十二神将像を見て回りました。これが約1000年も前に作られ、それが様々な歴史の苦難を経て現在まで守り伝えられているということがすばらしいことだと思います。さらに、この十二神将像は塑像ということで土でできているにも関わらずです。奇跡ともいえることだと思います。
庫裏の方で、DVDが上映されていて新薬師寺の歴史を知ることができました。元はとても大きなお寺だったものが、平家の焼き討ちや落雷などで消失し、元々の本堂ではなかった建物を本堂として薬師如来が安置されたということらしいです。
十二神将像は作られた当時にはとても美しく着色されていたということがわかったとのことでした。残っている文様などを調べ作られた当時の色彩がCGで復元したものを紹介するビデオがく庫裡で公開されていました。
落ち着いた小さなお寺でとても迫力のある仏像たちとの出会いがあった年の初めでした。
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