« 小正月には小豆がゆ | トップページ | 放送大学は現在試験期間中 »

心を打つ映画2本。現在の日本人がなくしたもの

スターウォーズを見たことについては記事にしましたが、年末年始にかけて邦画を2本見ました。かつての日本人の人道的対応を扱ったものです。

見た映画は「杉原千畝」と「海難1890」です。どちらも外国人の命を救ったという日本人の話です。でも、違うのは救った日本人の立場です。外交官という権限を持った人と貧しい漁民ということです。

「杉原千畝」は外交官事務所の前に押し寄せるドイツ軍から逃れるユダヤ人難民に対して、本国の命令に逆らい日本への通過ビザを自分が退去する直前までに大量に発給し多くの人の命を救った人物です。
私は、この話を知っていたのですが本当に日本までやってきたという映画のエピソードについては聞いたことがなく演出かなと思って調べてみたら、本当に来ておりそこから中国に渡ったそうです。明治政府はドイツとの同盟国でありながらユダヤ人を迫害するということはなかったとのこと。それなりの政治的な思惑があったようですが。

一方「海難」は、天皇陛下へオスマン帝国の王からの親書を届けるために航海してきた海軍の軍艦が和歌山沖で台風に遭遇し座礁し、500人以上の人がなくなった事故において、串本の漁民が台風の中、懸命に救出活動をつづけ69名の命を救ったという史実に基づいて描かれています。トルコは親日国ということで知られていますが、この事件が教科書等で語り継がれているということを以前何かで語られているのを聞いたことがありました。

この無名の人々が自らの危険を顧みず、また食料が乏しい中、分け与えて命を助けたという事実。さて、この映画はこの物語を過去の物語として語っているだけではなく、イラン・イラク戦争でのテヘランからの法人脱出にトルコが救援機を飛ばしたという話と結びつけています。

映画は実際にあった事件を題材にしています。どちらの物語りも事実とは異なる演出は入っているでしょうが歴史をおうように淡々と進みます。
「杉原千畝」は淡々と進み、「海難」はトルコ、日本をオーバーラップさせながら物語りが進みます。さらに明治の海難事故が一段落したらテヘランでの日本人救出の物語りに移りそして最後に和歌山で救助された士官がトルコに帰っての後日談を少し挿入して終わるという少々複雑な作りでした。

杉原千畝がユダヤ人を助けるために公務員としての義務を放棄し人道的に対応したことについてはおそらくものすごい葛藤があったことだろうと思います。そうしてまでも人道的な対応をとったというのはすごい決断がいったことでしょう。軍人が幅を効かせている時代にあって、当時の日本人にこういう人がいたというのは、現在の私たちにとってある種の救いでもあります。

しかし、国から見れば一外交官としての権限を本国の命令違反に背き行使したというのは重大な命令違反です。現在なら国家公務員法違反で処分され新聞の一面で叩かれていることでしょう。それほどの問題行為です。事実、この行為については戦後も評価はされていませんでした。それが現在、人道的な見地からようやく再評価された人物であるということです。

私はどちらかというと「海難」の方に感動を覚えました。
串本の漁民は、言わば無償の愛によって台風のなか危険を顧みずに全ての村人が救助にあたったのです。海で生きる彼らにとって、まさに「おたがいさま」の精神だったのでしょう。日本の多くはこの史実を知りません。地元で語り継がれるだけです。しかし、トルコでは語り継がれていたのです。いわば時代を超えて国を動かす力を串本の漁民は持っていたということなのです。

無名の人々の懸命な見返りを求めず、人を思う心。とても美しいものを感じました。現在の日本人が見ると綺麗事であるという人もいるかもしれません。しかしこれはかつて日本人が持っていた心。今は失ってしまった国民性なのではないかと思いました。だからこそ心を打つのです。

|

« 小正月には小豆がゆ | トップページ | 放送大学は現在試験期間中 »

コメント

幸雲さん、こんばんは。
「杉原千畝」は見てみたいと思っていましたが、
「海難1890」もとてもよさそうな映画ですね。
ていねいなご説明から、ますます興味がわきました。
ぜひ、映画の中で、その美しい心に触れてみたいです。

投稿: hanano | 2016/01/21 17:47

hananoさん。コメントありがとうございます。
どちらの映画も年末の映画なので、すでに終わっている劇場があるかと思います

私が見に行ったシネコンでも上映回数が1日1〜2回になっていましたから・・・。

今、上映スケジュールをチェックしたら、「海難」は終了。「杉原…」は1回/1日になっていました。まもなく終了のようです。レンタル等でご覧ください。こんな出来事があったことを知っておくのもよいかと思います。

JAFの会員特典に映画の割引があることを知ってから結構見に行っています。

それにしても、和歌山は「近畿のおまけ」などと茶化した歌もありましたが、このトルコ軍艦の救助や津波を知らせるため高台の水田の借りとったばかりの稲の束に火をつけて多くの人の命をすくったという「稲むらの火」の教訓など、人道的に優れた人が多くおられた土地なのかもしれませんね。

投稿: 幸雲 | 2016/01/23 19:29

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/41440/63082698

この記事へのトラックバック一覧です: 心を打つ映画2本。現在の日本人がなくしたもの:

« 小正月には小豆がゆ | トップページ | 放送大学は現在試験期間中 »