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融合する工芸展2016

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大阪高島屋で開催されている「融合する工芸2016 ― 旅に出たヤドカリのはなし」を見てきました。

会期:平成28年11月30日から12月6日
場所:高島屋大阪店6階美術画廊

様々なジャンルの工芸作家が、それぞれの作品を持ち寄り一つの作品を完成させるというコラボレーションによる作品展です。

参加作家はジャンル、年齢、国籍を超えた作家がコラボレーションしています。
 ・笹井史恵 漆芸・乾漆
 ・田辺小竹 竹工芸
 ・若宮隆志 漆芸・蒔絵
 ・満田晴穂 自在置物
 ・小黒アリサ 木彫
 ・加藤亮太郎 陶芸
 ・マニュエラ・ポール=カヴァリエ 金箔造形

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今回の目玉は、廃れて工芸の世界からも消えてしまった自在置物を復活させ、さらに1分の1という原寸大で、昆虫などを作成される満田さん。この方の作る昆虫の精巧さには息を飲むものがあります。この満田さんのヤドカリの”ヤド”をそれぞれの作家が創意工夫して作るというのがメインテーマになっています。
小さい作品なのですが、とても見ごたえがあるものでした。

とても、面白い展覧会でした。 

作家によるトークショーも開催されていたので、合わせて聞いて来ました。

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融合する工芸とはなにかということを、トークショーの解説からひらってみると。
伝統工芸のジャンルは色々とあるけれど、もともと工芸はバラバラなものではなく様々な職人のコラボにより作られたものでした。例えば、江戸時代までの工芸の中心にあったものとしては、日本刀や兜があります。これは、刀鍛冶、つばやなどを装飾する金属加工や鞘への蒔絵、漆、装飾、組紐など様々なジャンルの工芸が統合されて成り立っていました。

しかし、現在の伝統工芸というと、それぞれのジャンルが全てバラバラに存在して作品をつくっています。これは、パリ万博に出品する際にジャンル分けが必要になり分けたものが現在まで続いているという事でした。

ですから、この展覧会はバラバラになった工芸を融合し新しいものを生み出すというものですが、実際的には、工芸の本来あるべき姿に回帰するものであるということでした。伝統的な技術を寄せてそれぞれの創意工夫で新しいものを産み出そうという試みです。

本当に素晴らしかった。作品も創意工夫され面白く、遊び心もあり、とても楽しい作品たちでした。

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特に今回の主役である、自在置物のヤドカリや金魚、昆虫の作家さんは、明治時代に刀などに装飾を施した金属加工の職人が明治時代に創りだしたものです。これはその後廃れてしまい、伝統工芸のジャンルにも残っていません。しかし、この作家さんは学生時代に唯一残っていた方に師事されたそうです。そして、こだわって作っておられるのは1分の1の昆虫達です。今回出品された作品のゾウムシはなんと2.3mm。そんな筈はないだろうと、パンフレットでは23mmと誤植されたという逸話付きです。

そして、昆虫の関節で動くものはすべて動くようにつくるというこだわりを持っておられます。ですから、今回のヤドカリもその動きはとてもリアルです。スズメバチの作品では、持ち上げると、尻から針をだすという精巧さです。

この伝統的な技術を駆使した素晴らしい作品ですが、実は発表する場がほとんどないとのことです。どこのジャンルにも分類できず、伝統工芸展などに出品するには小さすぎて出せないとのこと。cそして、結局いま、この作家さんの作品は現代美術に分類されているというのです。まったくもっておかしな話です。

さて、テーマになっているヤドカリですが、様々なジャンルの作家が作るヤドカリの家は、創意工夫され、作家がヤドカリという作品の存在感に負けないような”ヤド”を遊び心をいれながら創り上げていました。

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特に、おもしろいと思ったのは、漆の若宮さんのお椀のヤドをかって

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いるヤドカリです。お椀の蓋にはタコの蒔絵が施されており、蓋をするとタコに襲われているヤドカリというスチュエーションとなっています。小竹さんの竹籠をかっているヤドカリも面白かったです。

まさに作家同志のプライドをかけた作品です。そこにみなぎる創造の力を感じたのは私だけではないと思います。
コラボのメインテーマにこのヤドカリを持ってきたことはこの展覧会をより面白くしたのではないかと思いました。


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