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「線の造形、線の空間ー飯塚ろうかん斎と田辺竹雲斎でめぐる竹工芸」展

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東京虎ノ門の智美術館で開催されている「線の造形、線の空間ー飯塚ろうかん斎と田辺竹雲斎でめぐる竹工芸」展に行って来ました。
智美術館は本来は陶芸の美術館なのですが、今回、竹の企画をされたとのことです。

「線の造形、線の空間ー飯塚ろうかん斎と田辺竹雲斎でめぐる竹工芸」展

場所:菊池寛実記念智美術館(東京都港区虎ノ門)
会期:平成30年4月14日~7月16日まで

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この展覧会は竹工芸界の東西の名門である飯塚家と田辺家の歴代の作家の銘品を集めた質の高い展覧会です。竹工芸の自体の展覧会が少ない中、こんな大規模な展覧会を、小さな美術館が開催したというのはとても偉業だと思います。

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智美術館は、陶芸の美術館なのですが、そこで竹工芸の展覧会を開くのも異例なのですが、驚くことには入場者数も過去最高を記録しているとのこと。竹工芸に対する関心も高まってきているということなのでしょうか。

小さな美術館という事もあって展示は前期と後期にわかれて作品が総入れ替えになるとのこと。私が行ったのは、前期の田辺先生のギャラリートークがある日に行きました。

この美術館の展示室は、地下に設けられており、受付から螺旋階段で降りていきます。
この螺旋階段の天井から階段の踊り場までの空間に四代竹雲斎の代表作とも言えるインスタレーションが作成されています。圧倒的な存在感です。その空間にもともとあったような。

特に今回のインスタレーションは天井の照明を包むようになっているため、光が作品の中を通って差し込むため、どことなく幻想的な雰囲気も漂わせていました。

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螺旋階段が通常の階段に繋がる広い踊り場の床から三本の大きな柱がうねるように伸び、ねじり上がりながら天井まで続き、照明を包み込んでいます。照明の光は竹の中央の空間を照らしインスタレーションの竹の隙間から漏れ階段を照らしています。その少し淡くなった光がどことなく優しく周囲を包み込んだ幻想的な空間です。大きな柱を右に見ながら地下に降りていきます。螺旋階段の曲線とインスタレーションの曲線のラインが見事に調和していました。

ギャラリートークの時の解説で、この3本の柱は人と伝統と未来という思いも込めているとのことでした。また、この螺旋階段に作成したのは、これまで竹工芸にふれたことのない方は、竹工芸というと古くからある竹の民具をイメージされることが多くそんな人達にインパクトを与えるためということ。そして、展示室に降りる時、このインスタレーションを間近に見ながら展示室に向かう。地下にある展示室の歴代の作品にを触れた後、帰りには脈々と続く技術の継承を受け継いだその巨大な作品に再度眺めた時に、最初に受けたインパクトとは違う、竹工芸の歴史と未来を感じてもらえればという思いがあったとのことでした。

ギャラリートークでは歴代の過去の作品達を説明した後、若い弟子達を紹介し、この展覧会が竹工芸のこれまでで一番であったということでは終わらせてはいけない、次の時代を私たちで作っていかねばならないという決意を語られたのがとても印象的でした。

来週にでも後期展を見に、再度訪れたいと思いました。

(智美術館は落ち着いたとても美しい芝の庭をもつ美術館でした。ビルの谷間にいることを忘れさせるような落ち着いた環境の素敵な空間でした)

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