昨年はというよりも、このところずっと、食品偽装についての話題に事欠きません。年末にNHKの番組に出演していた経済評論家の方が食品偽装の問題と雇用問題がリンクしていると話されていました。
でも、偽装については、今に始まったことではなく、以前から食品業界では日常的なものであったのだと思います。だから、偽装として公表された食品会社の人は、当初は何が悪いのかわからないような反応でマスコミでたたかれていました。(最近ではすぐに謝罪するということが定着しているようですが・・・)
では、なぜ最近になって頻発するのかというと、農林水産省が食品表示を定めたJAS法を改正して監視を強化したからです。さらに、指導を強化し公表するようになったため、消費者の意識が高まり、パートなどの非正規社員が勤め先で見た不正を通報する件数が増加したため目立つようになりました。これが偽装が消費者の目にとまるようになった大きな要因だと思います。
このような食品に関する問題を指摘した本が20年ほど前(平成2年)に出版されています。(「農家の主より消費者へ」 山下惣一 著)
港に陸揚げされる野菜を待つ日本の産地を書いたトラックや、パン業界が荷主になっているという髪の毛・・・。「安ければよい」という風潮のもと、20年も前なら当たり前だった偽装に対し著者の指摘していた「原産地表示の強化」が現実のものとなり明るみに出だしたということなのです。その偽装行為が国産農産物の生産を低迷させていたという流通側の大きな責任があります。
毎日新聞の「記者の目」でこの本を元にして書かれた記事が掲載されていました
消費者は、甘やかされる存在なのか=中村秀明(2008年02月14日)
折しも山下氏と同様の主旨の主張が毎日新聞の記者が書いていました。 2009.1.13 追記
日本の食料自給率を上げる前に=行友弥(東京経済部) (2009年01月13日)
「農家の主より消費者へ」 山下惣一 著 家の光社
この本は、今ようやくマスコミで取り上げられるようになった食品偽装の問題を既に指摘しています。そして、著者の指摘されたように、原産地表示と取締の強化が為されてきました。その結果が現在の食品偽装の発覚の連発です。著者は加工品についての原産地表示についても当時から指摘しておりその流れで進んでいます。
1990年のバブル期、マスコミの論調も「農産物輸入賛成、安けりゃいいじゃないか、日本農業は日本経済のお荷物」という農業バッシング風潮のもとでの著書です。約20年たって、時代が著者の主張に追いついたと感じます。当時の問題にも触れられていますので時代を感じる部分もあります。それも当時の世間の農業に対する扱いがよくわかります。そこに流れる主張は、現在改めて読んでみても説得力があります。食品問題、偽装問題に関心をお持ちの方は是非一度読んで見ることをお薦めします。
全ての項目を紹介したいところですが、最終章の「第10章 消費者に贈る10の本音メッセージ」を項目だけ紹介します。
1 まず飢えるのはあなた、消費者です
・食料、農業問題は究極のところ誰にとっての問題なのか
2 情報にふりまわされるのも困りものです
・極端から極端に走るな
3 原産地表示の義務づけを運動に
・輸入農産物にも国産にも原産地表示を義務づけよう
4 求む、おコメにうるさいおばさん
・コメの内容表示をもっとくわしくきけ
5 食事を楽しむ文化を家庭に
・食事はエサではない。家族の貴重なコミュニケーションの場である
6 利便ばかりに走ると「知らぬと仏」
・利便性にご注意
7 あえていいます。農業は消費者しだい
・消費が生産をつくる
8 食べ物の流れに関心を
・逆商社のすすめ
9 こだわりの気持ちを行動に
・やれることから始めよう
10 溝を埋めるのは共に生活者の視点
・生産と消費の接近を共に生活者として
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